電磁界解析の設計・製作への反映

1)解析対象とモデル化

三相交流用トランス周囲の空気層を含む10万以上の要素からなる3次元有限要素モデルを用いて、トランスに流れる電流と磁界をシミュレートしました。

2)解析

この3次元有限要素モデルについて、周波数応答解析・鉄損解析・過渡状態の解析を行いました。

(1)周波数応答解析

実際にトランスを運転している最中にどのような磁力が現れるかをシミュレートしました。
現象を理解し、結果に反映させることが出来ました。

(2)鉄損解析

トランスのどこでエネルギーが失われているか、磁性材料のコアで生じる損失(鉄損)をシミュレーションによって解析し、磁界の向きが変化するときに生じる損失(ヒステリシス損)とコアを流れる渦電流によって生じる損失(渦電流損)それぞれの分布を調べました。これにより、ヒステリシス損と渦電流損の損失を最小限に抑える設計を進めることができました。

(3)過渡状態の解析

(1)(2)のシミュレーションモデルを用いてトランスの電流を切断した時の残留磁束等の初期状態を決定し、シミュレーションによって電流再投入時の突入電流および電磁機械力を解析しました。

シミュレーション解析を行うことにより、電力投入直後の過渡状態において実際に測定した突入電流の波形に近い結果が得られました。

このシミュレーション解析結果をもとに、三相交流における単相交流の各系統それぞれが別々に電源遮断された場合、及び、別々に電源投入された場合をそれぞれ場合分けして突入電流と発生する力とを推定しました。
この推定を用いることで、トランスの設計を改善することができました。また、トランスを効果的に運用するための運用指針を定めることができました。

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